娯楽ノート

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「木根さんの1人でキネマ」 1巻・2巻・3巻 アサイ先生 感想

 

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映画を見ることが大好きなOL・木根真知子。そんな木根さんの映画フリークな日常をコミカルに描いた漫画。

 

1話ずつ感想を書きます。ネタバレもあります。

 

 

 1巻

木根さんの1人でキネマ 1 (ジェッツコミックス)

木根さんの1人でキネマ 1 (ジェッツコミックス)

 

 1本目「ターミネーター3

木根さん、映画を見てその感想を、ブログ「1人でキネマ」に書き込むことを趣味としている女性。映画に関して一喜一憂していることが多く、映画が好きだということが伝わってきて、魅力的な主人公だと思います。言動が過激な面もありますが、総じて可愛らしい方です。

ネットで自分の意見を否定されて「ネットは糞ね!!」と思いっきり悪態をつくシーンが面白かったですね。笑いました。

木根さんは幼少期の時、映画に目覚めたのですけど、お母さん・友人・彼氏から映画趣味を否定された過去を経て現在まで来ており、理解のある映画友達が欲しい様子。終盤の叫びは、面白くも切実なシーンだと思います。同じ趣味且つ、似たような嗜好の人を現実で見つけることは、とても難しいので。

あと化粧をした木根さんはとても美人です。

 

2本目「バッドボーイズ2バッド

木根さんは、自身の映画趣味を周りに隠しているのですけど、それ自体は隠すような趣味ではないと思います。ただ、木根さんの場合は、好きな映画のラインナップが大衆受けしなかったディープなものが多く、それ故隠しているそうです。その気持ちは分かります。映画にかかわらず、好きと言いにくいものってありますから。漫画等でも。

それに、木根さんは大衆で受けている映画や興行収入TOP10に入っているようなメジャーな映画を、全部ではないですが多かれ少なかれ敵視している傾向があり、全体的な嗜好としては、マニアックな映画が好きなのかなと思います。

この話から登場する、木根さんの相棒的立ち位置となる、映画に全然興味がない同じ会社で同期の水城さん。水城さんの旦那に関する相談を聞いている時の、木根さんの呆れたような顔がツボです。全く興味なさそう。

水城さんですけど、映画を見た際の感想が様々な知識を織り交ぜた論理的なタイプです。一方木根さんは、○○が好き、○○が面白いといった直観タイプだと思います。この凸凹感が良い。

結局水城さんは旦那と離婚して、木根さんの家にお世話になります。価値観が違う2人の共同生活スタート。

 

3本目「インディ・ジョーンズ

今回の話の肝は「映画をなぜ映画館で見るのか」。

自分はレンタルDVD派なのですけど、木根さんの言っている映画館で見ることの素晴らしさも分かります。DVDだと一時停止や巻き戻しができますけど、映画館ではそれができないので映画を見る際の集中力が違いますし、見終わった後の充実感も段違いなので映画は映画館で見るのが一番楽しいと思います。大スクリーンで見るというだけでも価値があると思いますし。木根さんも言っていますが、映画の上映が終わって明るくなる瞬間が自分も好きです。あれは映画館ではないと中々味わえないと思います。

最後の頁で大切なことが発覚。水城さんは離婚したことにより、旧姓の佐藤に戻るというややこしい状態に。

今後は佐藤さんと表記します。

 

4本目「スターウォーズ

10年ぶりの新作が公開されることになり、ネタバレを耳に入れないように奮闘する話です。

映画・漫画・アニメ問わず、見たいと思っている作品のネタバレは極力知りたくないと思っている方が多いと思います。特に映画の予告は要注意。しかし、映画の予告に使用される、関係のないシーンを2つ繋げて視聴者のミスリードを誘う演出の場合もあるので、一概には言えませんが。

これはネタバレ関係なく、作品を見る側の心持としては、情報や事前の評価によってハードルを上げないということも大切だと思います。供給者はネタバレや情報の提供をしすぎない、消費者はフラットな状態で見る、これが幅広く作品を楽しむ上で大切だと気づきました。先入観は厄介なので、事前の情報はあらすじで留めておくのが好き。

本編で木根さんも言っていますが、何も知らずに作品を見て、それが面白かった時の感動は計り知れないと思います。

でもスターウォーズのような有名な作品のネタバレ回避は難しいと思います。情報社会なので、人・TV・ネット・新聞・雑誌あらゆるところに危険が潜んでいるので。頑張れ木根さん。

 

5本目「ゾンビ映画

風邪をひいて会社を休んでいる木根さん。

体調が悪い状態で見るゾンビ映画がことごとく面白くなくて、二重の苦しみを受ける木根さんが面白い。風邪をひいている時に、30本のゾンビ映画マラソンは無謀だと思います。より体調悪くなりそう。

見ている映画が面白くない時に早送りしたくなる気持ちは分かります。映画を愛する者としてその行動に葛藤する木根さんですが、結局TV・パソコン・スマホの同時視聴且つ全てを倍速で見るという、映画好きにあるまじき行動を取っています。ここの満身創痍の木根さんに笑いました。

 

6本目「バック・トゥ・ザ・フューチャー

 居候している佐藤さんの引っ越し先が見つかり、家を出ていく前に、何とかして「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見せようとする木根さん。

一向に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見てくれない佐藤さんに向かって、思いの丈を泣きながら叫ぶ車内のシーンは、笑えるのと同時に、心揺さぶられました。自分の趣味や嗜好を他人が好きになってくれないことに対して、やきもきする気持ちはとても共感できます。身勝手な感情だとは思いますけど、誰が何と言おうと、自分の好きな物が自分の中で一番ですし、そういった思いを持っている方は普遍的にいらっしゃるのではないかと思います。1巻の中で特に印象に残る好きなシーンです。

いろいろと叫んだ木根さんですけど、一言でいえば「共通の映画の話をしたかった」と、その分かりやすさが良いなと思います。好きなものや趣味の話をしている時程、楽しい時間はないです。

最後、結局木根さんと佐藤さんは、同居生活に逆戻りしましたけど、とてもいいコンビだと思うのでこれで良かったと思います。映画の感想が全く嚙み合っていませんでしたが。

 

 

2巻

 

木根さんの1人でキネマ 2 (ヤングアニマルコミックス)

木根さんの1人でキネマ 2 (ヤングアニマルコミックス)

 

 7本目「ジブリ映画」

会社の飲み会でジブリ映画の話になるが、ジブリ映画を1本も見たことがない木根さん。逆にジブリ映画が大好きな佐藤さんに、いつも嫌味を言われている恨みを晴らすかのように反撃されるシーンが面白いです。

みんなが、思い思いにジブリ映画に対する偏見をぶつけ合うシーンは、醜すぎて笑ってしまいました。ジブリに限らず、人気があり長期的に続いているシリーズには、作品毎についているファン同士の対立があるのかもしれません。自分の価値観を押し付けないことが大切だと思います。ただ、木根さんはよく佐藤さんに価値観を押し付けていますけど。心を開いている証拠だと思っています。

飲み会の帰りに、ジブリ映画を借りて帰ろうと提案する佐藤さんの案を拒否する木根さん。この話では、立場がいつもとは逆な2人。本当に「人それぞれ」って便利な言葉ですね。

 

8本目「ラブ・アクチュアリー

クリスマスパーティーをしている木根さんと佐藤さん。離婚した旦那との楽しかった記憶を思い出し、終始ダウナーモードの佐藤さんが面白い。

未練がましい佐藤さんの元旦那に木根さんが電話をかけて、思いっきり暴言を吐くシーンがとても格好良いです。木根さんはなんだかんだで、佐藤さんに対して友情を感じていて、嬉しく思います。ただ、相変わらず木根さんは口が悪いです。そこが魅力ですけど。

そんな木根さんを見て、友情以上のものを感じる佐藤さんでした。一線を超えそうな雰囲気が危なっかしくて面白いです。

かなり過激ですけど、感情表現豊かで賑やかな性格をしている木根さんと一緒にいたらとても楽しいと思います。 映画も見放題ですし。

 

9本目「?????」

洋画の吹き替え問題を描いた話。

吹き替えは難しいと思います。その役者や役にあった声の人を選ばないと作品に入り込めなかったりもすると思います。

ただ今回の話は、声があっているいない以前の問題で、声優経験のない駆け出しのタレントを、波乱万丈の人生を送った主人公の女性に配役しており、これは木根さんが激怒するのも無理はないです。

しかし、ネットで読んだだけで、あそこまで感情移入する木根さんは、情に厚いと思います。

 

10本目「タイタニック

木根さん高校の同窓会に出席。

高校時代の木根さんは、映画に詳しいことを鼻にかけている、ちょっと鬱陶しい性格だったことが判明。評価の高い映画を見てもいないのに評価したり、超大作で大ヒットしているというだけで叩いたりと中々拗らせていて面白い。現在の木根さんも根本は変わっていないような気もしますが。

101・102頁、木根さんの告白が印象的。自分の本当に好きなものを、他人に言いにくいというのも分かります。何にしても、偏見はよくないですね。

ただ、木根さんの「タイタニック」を面白いと思うポイントは、人に言わない方がいいと思います。いささか不謹慎ですから。

 

11本目「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

ある日、映画を見て帰って来る木根さんを待っている佐藤さん。夕飯を作って待っています。木根さんは佐藤さんのことを少し鬱陶しく思っているかもしれませんが、佐藤さんは木根さんのことを結構好意的に見ている様な気がします。居候させてもらっているからというのもあると思いますけど。

マッドマックスに心を奪われている木根さん、かなり鬱陶しくて面白い。

11話の肝は「同じ映画を何度も見るのはなぜ?」。これは木根さんが本編で言っている「面白いから」と言う意見に同感です。理屈抜きに面白いものは何度観ても面白いと思います。しかし、面白くても1度見れば満足するもの、そんなに面白くなくても何度も見たくなるもの、いろいろあって一概には言えませんが。

木根さんに薦められるがまま「マッドマックス」を観た佐藤さん。相変わらずロジック的な感想が良いです。「感想」と言う点で木根さんと分かり合える日がくるのか。

 

12本目 「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」

高校の同級生達と自宅で映画鑑賞兼鍋パーティーをすることになった木根さんが、見る映画を床に広げて選んでいるのですが、隅の方に「ムカデ人間」があって笑いました。自分は「ムカデ人間」を見たことがありませんが、こういう会の時に見る映画ではないことはなんとなく分かります。あのラインナップなら、「スタンド・バイ・ミー」が無難だと思いますけど。

木根さんの同級生に囲まれて居心地が悪そうな佐藤さん。酔いが回って、この場にいる誰よりも、木根さんの映画趣味を理解していることを自慢気にしている佐藤さんが可愛かったです。やっぱり佐藤さんは木根さんのことかなり好意的に見ていますね。とても良い関係だと思います。

木根さんがみんなで映画を見ることの楽しさに心惹かれるシーンがありますけど、面白くて笑えるタイプの映画なら複数人で見た方が楽しいと思います。ただ、それ以外のタイプの映画は1人で見た方が楽しめると感じます。ヒューマン系やホラー・サスペンス等。

 

 

3巻

 

13本目「ダークナイトとアメコミヒーロー映画」

佐藤さんが木根さんの家に居座って1年が経ちました。漫画の中の時間は、現実の時間とリンクしているようです。

今回の話は木根さんと佐藤さんによるアメコミ議論。

創作物ということを加味している木根さんと、例え創作物とは言え現実的な視点で見ている佐藤さん。そもそもの見方が違うから、意見が平行線をたどるのは仕様がないですし、様々な考えがあるのは良いことだと思います。ただ、この2人は意見を交えるのではなくて、相手を論破することが目的になっておりそこが面白いです。

性格は違う2人ですが、どちらも我が強く譲らないところが良い。

映画に対しての本音をお構いなくぶつけ合うことができる佐藤さんとの関係は、木根さんの理想とは違うかもしれませんが、立派な映画友達になっていると思います。

 

14本目「ジョーズ

 この話では「ジョーズを子供に見せていいのか?」という議論がされます。

見せていい派は木根さんだけで、佐藤さん達は反対派。

人が人を襲う映画は子供に見せるには不適切だと思いますが、モンスターパニック映画は別に見せても大丈夫な気はしますけど。ただ、木根さんと普段から接している人達からしたら、小さいうちから過激な映画を見せたくないと思う気持ちも少し分かります。

子供を放置して、議論をしている木根さん達に佐藤さんが説教をするシーンが良かったです。この漫画に登場するキャラクターの中で、佐藤さんが一番大人ですね。あくまで相対的に見てですけど。

 

15本目「夏のホラー回/ホーム・インベージョンムービー」

木根さんはホラー映画視聴時に、口数が多くなるタイプの様です。ホラー映画は登場人物達の行動にツッコミどころの多いシーンが目立つと思うので、やいのやいのと言いながら見たくなる気持ちは分かります。ただ、ホラー映画より映画を見ながら騒いでいる木根さんを見ている方が楽しそう。

家で恐怖に襲われる映画を「ホーム・インベージョンムービー」と呼ぶということを初めて知りました。本編でも表記されていましたが、この系統の映画は恐怖感よりも、不快感が先行するジャンルの映画だなと思います。家を荒らされるって創作物ながら嫌な気分になります。

玄関の覗き穴が怖いというは、とても共感できます。自分の原因は「着信アリ」です。

 

16本目「ファイト・クラブ

木根さんのブログ「1人でキネマ」の存在が会社の部下達にバレます。ただ木根さんがやっているということはバレていません。セーフ。

その影響で、部下達にちょっとした映画ブームが訪れて、ニヤニヤと上機嫌な木根さんの笑顔が良い。本当に嬉しそうです。

14話に続き、佐藤さんがとてもいい仕事をしますね。映画にあまり興味がないからこそ冷静な視点で物事を見ることができる佐藤さんの存在はとても大きいと思います。木根さんにとっては特に。

木根さんは1999年の12月、高校生の時にブログを始めています。

そして、10話で描かれていた1997年12月公開の「タイタニック」を高校生の時に見ていることから、ブログを開始したのは高校3年時17・18歳。

そこから計算すると、16話時点で木根さんの年齢は34~35歳だと判明。

ずっとタイタニックを見に行った時の年齢が不透明でしたが、この話で木根さんの年齢が大体ですが分かりました。30代ということは1話の時点から分かっていましたけど。

 

17本目「新世紀エヴァンゲリオン

序盤からTVアニメ好きな人達に喧嘩を売る木根さん。中々の問題発言。さらに、さらっと言っているあたり木根さんはTVアニメを無意識のうちに下に見ている節がある様です。アニメ映画は結構見ている様ですけど。

エヴァンゲリオン」のDVDを1話から見る木根さんと佐藤さん。1話ずつ2人のリアクションがのっていて面白かったです。最終回を見て、理性が飛んだ木根さんに笑いました。

ちょくちょく登場していた、木根さんの友達のアニメが大好きなキョーコさん。自らのオタク半生を長々と語るシーンが好きです。キョーコさん結構濃いキャラクターでした。

 

18本目「スターウォーズ回エピソード5/3バカの逆襲」

 上司・取引先の3人に「スターウォーズ観」を押し付けられてご立腹な木根さん。価値観の押し付けに対する問題は、この漫画で度々描写されていると思います。

どんなに面白いものや名作と言われているものでも、過剰に薦められると妙なバイアスが掛かって、純粋に楽しめなくなります。過度に薦めるのはやめた方が良いです。映画に問わず、興味が湧いて自分の意志で見るのが一番いいと思います。

価値観を押し付けられて、怒っていた木根さんですが、同じことを佐藤さんにもしていたらしく、発言がブーメランになっていて笑いました。

それにしても佐藤さん、段々木根さんのお母さんの様な立ち位置になってきました。

 

 

 

〈雑感〉

この漫画、本編に出てくる映画を事前に見ていたら、もっと面白く読むことができたと思います。その映画を見ていると笑えるであろう、パロディや台詞がたくさんでてくるので、少し勿体ないことをしたなと思いました。

ただ、各話毎に扱う映画を見ていなくても、映画好きあるあるひいてはオタクあるあるをメインに描いている漫画なので、俗にいうオタク趣味がある人なら普段映画をあまり見ていなくても楽しめる内容になっていると思います。何よりも、映画のことになると過激な言動を繰り返す木根さんのキャラクターがとても面白いので、それだけで笑えます。

あと本編で出てくる表現で、「感想ヤクザ」という考えが面白かったです。実際、映画や漫画を人に薦めた際に、貰う感想は「面白かった」と言ってほしいのが正直な気持ちだと思います。自分が紹介した作品がつまらないと言われた時は、自分のことを悪く言われるよりも傷つく場合があり、人にものを薦めるのは難しいなと改めて思いました。

面倒くさいマニア心を随所に描き、身につまされるような描写が多いですけど、全体的にポップな作風で、映画が見たくなってくる楽しい漫画です。 

 4巻も楽しみ。 

 

佐藤さんのラインアイコン

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