娯楽ノート

エンタメ全般についてのことを書きます

「秋津」1巻・2巻 室井大資先生 感想

 

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漫画家・秋津薫と小学生の息子・秋津いらか。不真面目すぎる父親と真面目な息子の日常を描いた漫画家漫画。

 

1話ずつ感想を書きます。ネタバレあります。

 ※秋津薫のことは「お父さん」・秋津いらかのことは「いらか」と表記します。少しややこしいので。

 

その1

お父さんが授業参観に来る話。

お母さんが出て行き2人暮らしの秋津家。

漫画のモブキャラクターをトレスで描くようにアシスタントの西君に指示をするお父さん。序盤から漫画に対する手抜きな姿勢が愉しい。

妙な格好で授業参観に来ているお父さん。授業中にいらかへの思いが溢れて、「む」と言ったのが面白かったです。それを聞いて、いらかが笑っているようにも見えますし、苦笑いにも見えます。

いらかにちょっかいを出すのは、寂しい思いをさせたくなくて、笑ってほしかったからだと判明。半分は本当だと思いますが、もう半分は単にいらかを揶揄うのが好きだからだと思います。結果的にいらかは笑っていました。おそらく苦笑いでしょうけど。

いらかにとっては鬱陶しく、とんでもないお父さんです。ただ、一緒にいると退屈しないだろうなとも思います。

 

 

その2

漫画家仲間、鬱気味な山口の話。

スランプに陥った山口に向かって、お父さんが「原稿用紙しか見てないから世界がB4になってしまうんだ!」と、中々良いことを言っています。視野を広く持つことは大切ですけど、難しいことだと思います。

しかし、理想の親子関係の説明が無茶苦茶で面白い。「主と従が二転三転するパワーゲーム」って親子関係が入れ替わったらだめだと思います。その後、いらかに核心を突かれて落ち込んでいたのも笑いました。

漫画の原稿が遅れており、ポルシェを画像のトレスで済ませようとするお父さん。トレスってバレないのですかね。

酔っぱらって荒れる山口を見て、楽しそうなお父さんが良い。山口は秋津家が楽しそうで羨ましい様子。いらかは楽しくなさそうですけど。ただ、お父さんを見ていたら楽しそうだと思う気持ちは分かります。

一晩経ち、山口が家を出て行く際の、お父さんとのやり取りが面白かったです。「ダメー」。

 

その3 

現実逃避にお父さんが料理をする話。

お父さんがいろいろ考えて作った弁当を「やだよ気持ち悪い!」と一刀両断したいらか。普段の行動が行動なので仕方がないと思います。お父さんに対しての信用のなさが面白い。

料理をいきなり始めたのは、漫画が全然進んでいないことによる、現実逃避の為。モノ作りから逃げる為に、モノ作りをするという、なんだかんだクリエイター気質なお父さん。

漫画の方は相変わらず西君にトレスを頼んでいます。お父さんの漫画ってトレスだらけなのかなと思います。いつかバレて炎上しそう。バレる程売れてないのかもしれませんが。

様々なモヤモヤを吹き飛ばす為に、いらかとカレーを作る様子。カレールーを「荒ぶる食材どもをねじふせる鬼軍曹!」と評するお父さんに笑いました。

編集者の村瀬さんが、家までネームを催促しに来た際に、なぜかカレーを一口食べたお父さんが面白い。気まずかったのだろうなと思います。

 

その4

いらかの同級生に4コマ漫画の仕事を依頼される話。

編集者からきたメールを、予め酷い内容を想像し「想像したよりヒドい事書いてなかった!」と安堵するお父さんが面白い。いつもどんな文面のメールが送られてくるのか。でも、何かまずいことがあった時に予防線を張る気持ちは分かります。

いらかの同級生のことこちゃん。ことこちゃんのパパのフットサルチームが会報誌をだすということで、4コマ漫画を描くように言ってくれと頼まれるいらか。ことこちゃんにお父さんの漫画を説明するいらかが面白かったです。小学生にとってはジャンプが主流だと思うので、いらかの気持ちは少し分かります。気持ち悪いは言い過ぎだと思いますけど。

渋々引き受けて、ふざけながらもきちんと4コマ漫画を描いたお父さん。普段からそれくらい真面目に描けばいいのに。

4コマ漫画作成中にストーリーを練る才能を発揮し、創作することの楽しさに少し惹かれるいらか。性格は全く違いますが、いらかにもクリエイターの血が流れています。

最後に、ことこちゃんはお父さんのファンだということが発覚。小学生の内から青年誌に掲載されている漫画に興味を持つことは珍しいと思います。

 

その5

山口がフットサルチームに入る話。

ことこちゃんのパパ達との飲み会に出席する秋津家と山口。

鬱気味で社交性のない山口をフットサルチームに入れようとするお父さん。なんだかんだ山口のことを気にかけているのかなと思ったのですが、本音はくすぶっている山口を見ているのが大好きだということが判明。2話で山口を自宅で面倒を見ようと思ったのも、自分の近くに置いて優越感に浸りたかったからだと思います。

お父さんが山口に対して、84頁の「気が小さくて~ちょっと他人にもまれろ!」と言ったシーンが印象的。山口に対しては、ちょくちょく正論というか良いことを言っているような気がします。「自分マニア」という言葉が好き。

慣れないフットサルをして、右往左往している山口を見て不敵な笑みを浮かべるお父さん。それに便乗することこちゃん。ことこちゃんもお父さん側の人間になってきています。

最後、怪我をした山口の見舞いに来て、にやにやを隠しきれていないお父さんに笑いました。黒い部分が存分に出ていてとても面白い。

 

その6

西君が一時アシスタントを休業する話。

西君が自分の漫画を描く為にアシスタントを休業したいと言い、狼狽えるお父さんが面白い。普段からいかに西君に頼っているのかが窺えます。

それを聞いて、「こんな父親とふたりきりなんてこの子がかわいそうだろ?」と自虐を交えながら情に訴えかける姿に笑いました。それに便乗するいらかも面白い。

107頁のキックボードに乗りながら、中指を立てて通り過ぎていくお父さんに笑いました。それを無言で見送る、いらかと西君も面白い。

結局西君の夢は叶いませんでしたが、結果的にお父さんは助かりました。西君がいなかったら、とっくに廃業しているだろうなと思います。

晴れて戻ってきた西君に対して、怒っている編集者へのメールの返信方法を伝授するお父さん。いつか本当に愛想を尽かされそう。

一緒に仕事をしていて、「居心地がいい」と言うお父さんに対して、「丁度いいくらいに居心地がよくない」と言う西君の、対比が面白い。居心地が良すぎるのもだらけてしまって良くないと思うので、西君の気持ちは少し共感できます。

 

その7

いらかが同級生と揉める話。

些細なことで同級生の康太くんと揉めるいらか。そこから、両父親参加の話し合いに発展。

この話し合いの際に、「親ってヤツ」をすぐに終了させたのは笑いました。終わらせるのが早すぎる。

逆に立派な親としての姿を見せる康太くんの父親に対抗して、今まで漫画で描いたことを自分が現実で行った功績のように誇って、心の安寧を保とうとするお父さんが面白い。「大統領をブン殴った男だぞ!?(マンガで)」。

結局、酒の力を借りて全てをうやむやにしようとするお父さん。ここのシーン声を出して笑いました。その姿を見て呆れ果てる、いらかと康太くんが面白い。

結果2人は仲直りしますが、康太くんがいらかに突っかかったのはことこちゃんが原因の様です。康太くんはことこちゃんのことが好きで、いらかもことこちゃんのことを気にしており、ことこちゃんモテますね。当のことこちゃんはお父さんに心酔していますけど。

 

その8

気が弱い編集者・村瀬さんの話。

相変わらず締め切りに間に合っていなくて、村瀬さんに問い詰められているお父さん。いつも原稿が遅れていますね。村瀬さん、ストレスで倒れそうになっています。

漫画の進行状況はというと、残り10時間で全く手を付けていない原稿が8枚という、絶望的な状況。それを村瀬さんに言い出せないでいるお父さん。なんだかんだ手伝っている山口が良い。多少なりともお父さんに恩義を感じているのだと思います。

村瀬さんのメンタルを「6歳の女の子と一緒」と評していたのが面白かったです。村瀬さんの性格を理解しているのであれば、もう少し真面目に漫画を描いてあげればいいのにと思います。「こんな状況村瀬が知ったら3回死んじゃうよ」この台詞好き。

もう間に合わないことを正直に言い、それを聞いて印刷所に謝ることを決断した村瀬さんが勇ましくて格好いい。進むも地獄退くも地獄の状況は胃が痛くなります。

電話で謝りながらの村瀬さんの思想がとても共感できます。平穏に毎日を過ごしたいです。

周囲のキャラクターがみんなバタバタしている最中も、終始冷静に漫画を描き続けていた西君が良い。6話で西君不在の3か月間をどう乗り切ったのか気になります。

心身共に弱りながらも頑張っている村瀬さんに対して、仕事をサボっていた証拠を堂々とツイッターに投稿していたお父さん。この図々しさが漫画家として生き残っている要因だと思います。周囲の人達はたまったものではないでしょうけど。

 

 

その9

お父さんが漫画教室の臨時講師をする話。

編集局のデスクに臨時講師を頼まれたお父さん。お互いに意図を理解し合っているのが面白い。

講義をしている時の黒板に「アマゾンレビューに身内を動員」と書いてあり、内容がとても気になります。漫画とは直接関係ないことをたくさん教えてそう。面白そうではありますけど。

講義に参加していた、漫画家志望で性格が暗い瀬戸さん。持ってきた漫画をお父さんに見てもらうのですが、お父さん曰く「天才」とのこと。瀬戸さんを利用して甘い汁を吸おうと企むお父さんが狡くて良い。

しかし、瀬戸さんは自己評価が極端に低い性格をしており、お父さんの賞賛の言葉の数々に耳を傾けません。瀬戸さんの様な能力は高いのに自己評価が低いばかりに損をしている人はたくさんいらっしゃるかもしれません。

瀬戸さんの「なに描いても恐い人に見てもらいたいのに見てもらいたくない」と複雑なクリエイター心が印象的。何事にも賛否両論ありますからね。

最後、少しはお父さんの言葉が届いたようで良かったです。

 

その10

いらかの誕生日会を開く話。

山口に止められてしまいましたが、余興の「薫ちゃんファナティックポールダンス」を見てみたかったです。それにしても、ナチュラルに山口が秋津家に居るのが面白い。秋津家は賑やかですので、寂しい山口には居心地が良いのだと思います。

誕生会にはムトウ・ことこちゃん・康太くんの3人が参加。いらかは乗り気ではありませんがお父さんは張り切っており、一応息子思いの一面もあります。

康太くんにお父さんのことを「ヘン」と言われて怒るいらか。親を馬鹿にされるのは嫌な気分になると思いますが、子供の誕生会にスワンのコスチュームを着用して登場するお父さんは満場一致で「ヘン」だと思います。面白いお父さんですけどね。

「ふつうでいいのになぁ」と言ういらかの台詞は、静かながらも心の奥から強く願っている本音だと思います。小学生にしていろいろ悟っていますね。

誕生会を無茶苦茶にしてしまったことを謝るお父さん。悪気はあったと素直に言う潔さが良い。

最後、西君から誕生日プレゼントの「鉄瓶」を貰いテンションが上がるいらか。ちょくちょく描写されていましたが、いらかは全体的に渋いものが好きなようです。

 

その11

お父さんが新人漫画家にアドバイスをする話。

いつものようにネームが遅れて村瀬さんに詰問されている様子。様式美になっています。サボっていた証拠を、またツイッターに投稿しておりこの無神経さが笑えます。お父さんは月刊雑誌で連載を持っているようです。

デスクの羽田さんの頼みにより、ネームが上手く完成しない新人漫画家の曽根くんにアドバイスをすることになったお父さん。快く引き受けてはいましたが、その本意は仕事をサボりたかったからだと判明。サボってばかりですね。

ネームにキツくダメ出しをするお父さん。それに対抗してお父さんの漫画にダメ出しをする曽根くん。ここの落ち込むお父さんが面白い。図々しい性格に加えて繊細な面も持ち合わせているという面倒くささが笑えます。

しかし、曽根君に対してのアドバイスが中々共感できました。「同調」「気づき」「共感」は人付き合いの上で大切な要素だと思います。ただ、このアドバイスの意図は、編集者に媚びを売って仕事を貰えということですけど。堂々と力強く発言するお父さんが格好良く見えます。

怒っている村瀬さんには「同調」「気づき」「共感」は全く通用していません。最後の手段の「スネる」に笑いました。

 

その12

いらかを利用して瀬戸さんに漫画を描かせる話。

未だに瀬戸さんをデビューさせて甘い汁を吸おうと企んでいるお父さん。それに反して相変わらず自己評価の低い瀬戸さん。そんな状況を打開する為、秋津家で懇親会を開くことに。

瀬戸さん・比佐子さんを「お父さんの一味」と山賊扱いしたいらかに笑いました。お父さんに関係する人達は無条件で要注意人物になる様です。 

懇親会の中、瀬戸さんがいらかに気があることを見抜くお父さん。そこに付け込んで漫画を描かせようとします。自分の名声の為なら息子でも利用しようとする狡猾さが良い。

モジモジする瀬戸さんに「いらかはアレな人に基本的に優しい」とさらっと酷い助言をするお父さん。確かにいらかは変わっている人に優しいです。そういった人が周囲にたくさんいるので優しくせざるを得ないからでしょうけど。

いらかに自分の漫画家としての将来性の悩みを打ち明けるお父さん。息子に、将来が不安になるようなことを力強く発言する様が笑えます。切実な嘆きだと思いますけど。

いらかは度々「モノ作る人ってめんどくさい」と思っていますけど、いらかの周囲に面倒臭い人が集結しているだけだと思います。それにいらかも気づきました。こんなに面倒臭い人達は滅多にいないですよ。特にお父さんと瀬戸さん。

 

その13

西君がお父さんのアシスタントをしている理由が判明する話。

漫画のことで村瀬さんに問い詰められている、いつもの風景。しかし、村瀬さんの言葉は全然届いていません。その態度に西君が少し立腹気味です。当然の反応だと思います。

しかし、何とか今月分の原稿が終わり、いつになく順調な様子。西君の頑張りが大きいと思いまけど。

原稿の完成祝いに居酒屋に行く秋津家と西君。西君がお父さんのアシスタントを始めて3年経ったらしい。「ありがとうの言い方なんて忘れてしまった・・・・・」と、中々酷い発言をするお父さん。そんなお父さんに対してチクリと毒のある発言をする西君。西君の様子がいつもと違いますね。

西君がお父さんのアシスタントをしているのは、お父さんのデビュー作を読み、ファンになったからだと判明。しかし、お父さんのダメダメな姿に失望してきている様子。自分の憧れている人や尊敬している人の嫌な部分を見たくないし知りたくない気持ちは分かります。

罪悪感を覚えたのか、とても嫌そうに西君にお礼を言うお父さんが面白かったです。

本当にお父さんは、周囲の人に恵まれていますよ。

 

その14

仕事場の模様替えをする話。

漫画家仲間の立派な仕事部屋を見て自分の仕事部屋も整理しようとするお父さん。素直に劣等感を刺激されたと言う正直さが良い。

レンタカーを借りて家具の運搬をしてくれた山口。車の免許を持ってないお父さんですが、漫画家と免許の関係についての理論が面白かったです。

家具を部屋に持ち運んだだけで燃え尽きたお父さん。準備をするだけしたら、急にやる気がなくなる気持ちは分かります。「天竺くらい遠いよ・・・・・」この台詞好き。

そんなお父さんに対して、家具の組み立てを手伝う山口。山口は親切すぎると思います。いつ縁を切られてもおかしくないです。

最後に、初めて山口の部屋が描かれますが、秋津家とは正反対の綺麗で静かな部屋に住んでいます。しかし、山口は1人暮らし故寂しさを感じており秋津家の賑やかさに惹かれている様子。お父さんと関わるのは、イラつくことはありながらも楽しんでいると思います。

 

その15

実家に帰省をする話。

お盆にお父さんの実家に帰省する秋津家。お爺ちゃんとお婆ちゃんに甘えるいらかを見て、自分も甘えようとするお父さんが面白い。いらかが等身大の小学生のように人に甘える描写も新鮮で良い。普段甘えることができる大人が誰もいないですからね。

お母さんが出て行ったことを、お爺ちゃん達に言っていなかったお父さん。理由は「忘れてた」。らしい理由で良いです。

川で、お父さんが「オレのこといやか?」という問いに対して即答で「いや」と言ういらか。しかし、すぐに開き直るお父さんに笑いました。いらかがどんなに言っても、お父さんは変わらないです。

お母さんが出ていったことは自身のブログに書いており、それをお爺ちゃんは見て、すでに知っていたとのこと。「人のブログを盗み見るんじゃない!」と怒るお父さん。理不尽すぎて笑いました。ブログを盗み見るという考えがとても面白い。

なんとか場を取り繕うとして、お父さんの見え透いた嘘にいらかが笑顔で話を合わせるシーンが印象的。この笑顔からは一種の諦めを感じることができます。

 

その16

山口に恋人ができる話。

以前漫画を手伝ってもらったことがきっかけで、新人漫画家と付き合うことになった山口。

山口に恋人ができたことをお父さんにうっかり言ってしまったいらか。意外といらかも抜けているところがありますね。

その情報を聞き早速デートの邪魔をするお父さん。嫌がらせの数々が子供染みて笑えます。暴力を振るわれるのも仕方がない。

恋人ができた山口に対して、今まで秘めていた数々の邪悪な思いを打ち明けるお父さん。確かに「うちのダンナちゃんは変わり者」みたいなエッセイマンガを描かれる山口を自分も見たくないです。お父さんと同意見。ただ、「オレのためにずっと不幸でいてくれええ」の台詞は酷すぎて笑いました。山口を下に見ることだけが生きがいみたいになっています。

作家は不幸で孤独な方がいい作品を作れると言うお父さんに、山口がいらかを見て「お前にはあの子がいるじゃないか」と至極正論を言うシーンが印象的。お父さんがどれだけ他者に嫌味妬み恨みを言おうと、いらかがいる事により幸せそうに見えてしまうのは少し分かりますね。特に独身で今まで孤独だった山口からしたらよりそう見えたのだと思います。

 

その17

出て行ったお母さんが帰って来る話。

お母さんが帰って来ることになり狼狽えるお父さんが面白い。

それを知り喜ぶ村瀬さん。村瀬さんは、なんだかんだ今後も胃を痛くしながらお父さんと付き合っていくのだろうなと思います。そう考えるとかなり気の毒ですけど。お父さんの「見捨てないでネ」が可愛い。

お父さんは未だに臨時講師を引き受けているようです。「その6」で西君不在時の臨時アシスタントをしていた戸渡もこの教室に参加しており、漫画で賞を取ったのですが内容はネットに投稿されていたものを丸写しした様子。それを怒るお父さんですが、トレスを多用しているので人のことを言えないと思います。

秋津家に遊びに来ていることこちゃん。ことこちゃんはいらかがいやな目に遭うのをメモする「やなことノート」を書いていることが判明。ちょくちょく描写されていましたが、ことこちゃんの内面が真っ黒で笑いました。いらかが困っているのを見て喜んでいるあたり、内面がお父さんと似ています。ファンになるのも必然ですね。

山口は漫画の集中連載も決まり巡分満帆の様子。初登場時の鬱で他に頼れる人がいなかった時とは違い彼女もでき社交性も培われてきたのに、顔を合わせれば嫌味を言ってくるお父さんと未だに縁を切っていないのは、本当に友達だと思っているからだと思います。お互い軽口を言い合えるのはとても良い関係。お父さんの方は本気の嫌味が混じってそうですけど。

いらかとアイスを食べている西君。西君は秋津家になくてはならない存在だと思います。お父さんにとってはアシスタントとして、いらかにとっては相談相手として貢献度はとても高いです。

食事をしているお父さんといらか。「その15」でもそうでしたがお父さんに対して見せるいらかの笑顔は、小学生にしてはどこか哀愁が漂っており、味があって好きです。いらかはダメダメなお父さんを受け入れる覚悟ができており、達観具合が良い。

最後、ベランダからいらかと一緒に手を振っている時の、お父さんの比較的自然な笑顔が良い。これまではぎこちない笑顔や悪だくみをしている笑顔しかなかったので、最後の最後で描かれて良かったです。

こういったハートウォーミングな雰囲気で物語を締められるのはいささか寂しさを感じます。ギャグ色が強い作品だと特に。

 

 

 

〈雑感〉

知名度も実績もない漫画家を主人公にしているだけに、全体的に漂っているピリピリとした雰囲気や悲壮感がとても好みでした。漫画家を題材とした漫画で順風満帆な設定はあまりないかもしれませんが。主人公は秋津薫という架空の漫画家ですけど、作者・室井先生の漫画家としての経験もあると思うので、半エッセイ漫画のような気もします。

漫画を読み終わって、お父さんのファンになりました。自分の弱みや短所を理解し、それを自虐交じりに力強く発言する姿は格好悪いですけど、とても格好良く見えます。

お父さんは、終始不真面目な感じでしたけど漫画家という不安定な職業で、現状はきちんと家族を養えているわけですから凄いと思います。あと、いらかに対する愛は強いと感じます。ギャグ漫画ですけど、所々で描かれるファミリー漫画的な面も好きです。

ギャグの方は、自分のツボに合い何度も声をだして笑いました。面白くて笑えるところが大好きな漫画ですが同時に、修羅場の様な毎日を何とか生き抜いている登場キャラクター達を見ていると、元気を貰えます。そういったところも好みです。自分も頑張ろうと思えました。精神的に疲れている時に読むとより笑うことができると思います。

登場したキャラクター全員幸せというか平穏に毎日を過ごしてほしいですね。お父さんに濃く迷惑を掛けられているいらかと村瀬さんは特に。

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